目深にかぶった帽子にマスク、アイコンタクトがとりにくくなったもんだ

勤務しているスーパーで、顔の前に冊子を持った手をかざしながらレジの周りをウロウロとしている、少し不審に思えるお客さんがいた。

セルフレジや他のレジを回っているかと思えば、結局私のいるレジにやって来られた。

マスクや帽子で顔が殆ど隠れている上、度の強い眼鏡をかけていて表情を読み取るのがやっとであった。

なぜ、レジをウロウロとしていたのかは謎のままであるが、レジ前でカゴを置かずに中の商品だけをすくいあげてていたので、あ、あのパターンか!(商品を触られたくないやつやな)と思った瞬間に「あの~、あまり触った欲しくないんで~。」と仰ったので、「それでは、こちらからピッとしますね。」と言ってハンドスキャナーで読み取ろうとすると、コクッと大きく頷かれた。

お客さんが商品を一つ一つ手に取り、スキャンをしていったが商品の一つを落とされ、「この商品はおやめになりますか?」と訊ねた。

お客さん:「いいえ、交換で…。」

私:「…。」

それでも、全くご自分で取りに行く気配がない。

私:「こちらはもう、キャンセルでよろしいですか?」

お客さん:「いいえ、チェンジで。」

まだ、取りに行く様子がない。

しょうがなく係の者を呼び、取りに行ってもらうことにした。

そうなると、係の者が触ることになるが、いいのか?と、思っていたらようやく事態に気が付いたお客さんは、さっきの人に言いにいって下さい!と言われたので、先回りをして伝えにいった。

こういったお客さんが増えたからか、これまでレジによくきていたお客さんがセルフレジにも流れていった。

お互い手袋をしていてもこんな感じだから、本当に神経を使う。

後で聞いた話なのだが、このお客さんはお客さん同士でトラブルを起こした後だったらしい。

そんな背景があったから、何かに警戒していたのかもしれない。

それにしても、最近は顔もよく見えないお客さんが増えたから、アイコンタクトが取りにくくなったもんだ。

四字熟語のコーナー

【温柔敦厚】おんじゅうとんこう … あたたかさがあり、やさしく手厚いこと。孔子が『詩経しきょう』(儒教の基本的古典である五経の一)の教化の力を評した語。『詩経』の詩は上代の純朴な民情があふれており、これが人を感動させ人を教化する力を持つと説いたもの。「温柔」はやさしく穏やかなこと、「敦厚」は人情深く手厚いこと。

補説 … 出典に「温柔敦厚なるは詩の教えなり」とある。

出典 … 『礼記らいき』〈経解けいかい〉 

漢検四字熟語辞典【第一版】より