納豆には、苦い思い出がある。
小学校の低学年の頃だったと思う。母がよく圧力鍋を使って大豆の煮物を作ってくれていた。この炊いた大豆を食べるのが、当時の私は少々苦手だった。苦手であるだけで、食べようと思えば食べられたのだけど…。ある時、多分変な顔をしながら嫌々食べている感を出しているところを父に見られてしまったのだろう。怒られてしまうはめに…。これじゃあ、母の作ったものが美味しくないみたいだし、そう思われても仕方がない。でも、そういうことではなくて、大豆の持つ独特の味自体が、当時の私には少し苦手だった。
大概何でも美味しくいただてきたのだが、この頃の私は茄子や三度豆なども少々苦手で今思えば多少無理して食べていた。その一件があってから、どれくらいたった時だろう。家族の皆が納豆をいつものように食べていた。基本的に家で食べるものは、家族全員同じものを食べていたので、この日自分の分だけ用意されていないことを母に尋ねると、前に大豆はあまり好きでないと言ってたから!ということだった。
その時はもちろん納豆の原料が大豆だということくらい理解していたはずだけど、まさか自分の分だけ用意されていないとは!!納豆は味や食感が違うからというので、欲しがる自分がそこにいた。なるほど、今思えば勝手なものであるが、この時は悲しくなって泣き出してしまう始末だった。
これが小学校のころに起きた納豆事件だ。
今は、感謝の念を忘れず、何でも美味しくいただいている。