小学生の時、通学路で橋から落ちてしまった女性がいた。
その女性は、会社勤めされている感じだったけど、その当時流れていた川はかなり汚染されてしまっていて、よくヘドロなども目にした。
確か、バシャッという嫌な音で気がついたと思うのだが、登校中であり、子どもだった私たちは、衣服が汚れてしまった女性を他所に、そのまま歩き続けるだけだった。
その女性は、その後きっと家に戻るしかなかっただろう。もちろん携帯電話などない時代の話だから…。その場にいた誰もがあーーーっ!!っとなったのだけどどうすることも出来なかったのだ。
その女性は、川から無事脱出すると、呆気にとられただ苦笑いするしかないといった様子で、比較的落ち着いていた印象だった。
これから、何年たった時だろう、落ちることもない大きな橋に架け変わった。
そして、現在は橋の印象のない道路の延長みたいになっている。最初からこうなっていたら、悲劇は起きなかっただろうに。
本当に衝撃的な出来事だったので、よく覚えている。
実は、私も実家のそばを流れる、小さめの川ではあるが、橋から転落したことがある。この時は、近所のお姉さんと(6歳年上)一緒で、橋の上に乗っている時に遠くを指さされ、そこに何があるっていうような話をしていたと思う。
その視線の先ばかり追っていた私は、足下に気が回っていなかったのだろう、川にはまってしまった。この場ではおそらく2人の「きゃーっ」という悲鳴しか響かなかったはずだ。当時自分に注意力がなかったのにもかかわらず、この時ばかりは遠くを指さし何かを言っていたお姉さんに腹が立った。
橋が盗まれ、跳び越えて登校しなくてはいけない日があっても落ちることなどなかったのに!!
その後、私は家のすぐそばだということで、無事すぐにお風呂に入ることが出来たけれど、相当に臭い匂いがして、少しの間がまんするのがやっとだった。
母には、驚かせてしまった上、その時着ていた服の洗濯、お風呂の準備等で迷惑をかけてしまった。
この事件以来、あの時の女性のように、こういう時は落ち着いて行動するんだということを学んだ気がする。ただ、いつ思い出しても苦い、悔しい思い出だ。