人工股関節置換術は午後から行なわれ、一つ前の方の手術を終えた執刀医が予定開始時刻を少し過ぎてのスタートとなった。5時間を上回る長時間に及ぶ手術だった。
この間、家族はさぞ退屈だったろう。
麻酔後のカウントアップから目が覚めるまでの間が、まるでワープしたかのようで、つい夫に「手術の時間って、短かった?」って聞いてしまった。
しびれを切らして待っている者のことも知らずに、ホントに当の本人ときたらのんきなものだった。と、そこでやっと現実を受け入れた。
いや、受け入れた…と思ったら、まだそうでなかった!!
あれ~!!おかしい。胴部分より下の感覚が全くない。上半身はちゃんと重みを感じるのに、それより下はフワフワとしていて、まるで足がないというような錯覚が起きていたのだ。
思わず夫に言った。「足、足、足はちゃんとついてる?」
すかさず傍にいた看護師さんが、「まだ麻酔が効いていますのでねぇ。」と、おっしゃった。
夫は、よっぽどこの光景が滑稽だったのか、しばらく笑うだけだった。
よかった、笑えるということはちゃんとあるのか…。ホッ!お騒がせしました。
麻酔から目を覚ましても、足はまあまあな時間をかけてもとの感覚に戻りました。
こんな感じで、人工股関節置換術のオペは無事に終了したのでした。
手術当日はともかく、この手術を受けたことで、あんなに痛かった足は、嘘のようによくなりました。こうして速く走れるし、正座も出来るようになったのです。
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【一糸一毫】いっしいちごう … ごくわずかなこと。「毫」は細い毛のこと。「一糸」も「一毫」もごくわずかなもののたとえ。
漢検四字熟語辞典【第一版】より