大腿骨骨頭回転骨切術を受けた私は、この後5年くらいは速く走れ、正座もできたし何事もなく過ごせていた。
その後、徐々に股関節が変形して軟骨もすり減り、ついには軟骨のクッションが全てなくなった。ギシギシと骨同士が擦れ合うことで、歩くたび痛みに耐えなければならなくなった。
仕事中は足を引きずると、周囲の人にまるわかりなので多少気を張って歩いていたこともあるけど、緊張感があったから痛みはマシだったし、同僚の殆どが私の足の状態に気が付かなかった。
それでも、職場の一部の看護師にはそれが分かったというのだから恐れ入る。
家に帰ると痛みが倍増して、ついには階段に手をついて登る生活が続いた。
この頃は良く転倒したし、足に大きな傷も作ってしまった。健康な身体だと転倒して打撲しても、ほとんどきれいに治っていくところが、ズル剥けた皮膚を即縫合してもらっても、結局私の皮膚はくっつくことがなかった。
患部は紫色になり、めくれた皮膚の下から、肉が覗いていた。下腿潰瘍という病名がつけられた。
この足を見た義父は、まるで交通事故にあったみたいだと言った。
友達にこのことを話しても、悲しきかなすぐには信じてもらえなかった。
膠原病で全身性エリテマトーデスという元の病気のことを理解してもらうのはなかなか難しいことなのだ。(つづく)
【一切有情】いっさいうじょう … この世の生あるものすべて。生きとし生けるもの。特に人をいう。仏教の語。「一切」はすべての意。
漢検四字熟語辞典【第一版】より