バレンタインデー当日の混雑を避けるべく、休日である今日デパートでチョコレートを買った。
ここと決めている売り場に到着し、ショーケースを覗き込んだ。
先に見ていたお客さんは、店員さんとなにやら話をしていた。その後店員さんが「あと1週間早かったらよかったんですけどね。」と、お客さんに同調していた。どうやら、目当ての商品がなかったらしい。
そうそう、この店のチョコレートは普通に売り切れとか出てしまうのだ。人が多めだと思ったら
今日は祝日だったんだ。
そのお客さんは商品を選び終え、ポイントカードの話もしていて結構時間がかかっているらしかった。
奥の方にも男性店員さんがいたけど、やっぱり接客中のよう。
その間も私は、ずっとどれにするか真剣に悩んでいた。
そうしている間に2~30代前半くらいのカップルがやって来た。
そのカップルも何か言いもって、ショーケースの中のチョコレートを選んでいるようだった。
そうこうして、店員さんが、「次でお待ちのお客さま~っ。」と、言った。
もちろん私の方が先に来ていたから、次は私の番なのはわかっている。
それでも、2人で来ているってこともあって、そこそこデーンとショーケースを陣取る格好になっていたこのカップルが、次は自分たちの番だと主張するかも知れない。
(あ~これは、もう少し待つことになるな。どのチョコを買うか決まっていたんだけどな。)…そう思った瞬間、そのカップルの男性が、「あ~!どうぞぉ~。」と言ってくれた。
順番なんか無視してくる大人たちをもう何人も見てきたせいだろうか?
意外な展開に戸惑って、速攻店員さんにあのチョコレートをくださいと伝えていた。
いや、先に「ありがとう.。」とか「すみません。」あるいは、会釈をしてからだろう。
そう思いながらも、結局自分の番を早く済ませることに徹した。
もちろん自分の方が早く来ていたのだから、先なんだけど、ちょっと待って!今日は譲ろうとする自分がいなかったじゃない。
結局このカップルと目を合わせることもしなかった。
まもなく奥にいた男性店員さんに接客してもらっていたこのカップルもお会計という段階になっていたらしい。
お会計は、愛想のいいこの男性の方がしていた。
きっと、ご両親へのプレゼントにするんだろうな。
そんな気がしている。
【遺風残香】いふうざんこう … むかしのすぐれた人や風俗のなごり。「遺風」は昔の人のおもかげ、また昔からの風習。
漢検四字熟語辞典【第一版】より