何故気を抜いてしまったんだ!!
そう思ったときにはもう事既に遅し…であった。
山と積まれた買い物カゴ、これを瞬時に商品の大きさ・種類・特性などを考えながらチェック、カゴ詰めを行なうのが我々の仕事。
若いご夫婦が小さなお子さん2人を連れながらレジにやって来た。いつもの光景。
今日は、その小さなお子さんが商品らしきおもちゃ付きのお菓子をレジの台に手を伸ばし置いていた。
これも、よくあること。商品でないおもちゃなども置かれていることはよくある。
まず、そういった商品からスキャンしてすぐお買い上げテープを貼ってお子さんに手渡すことは鉄則だと思っていつもそうしている。
だが、今回はそれが違った。
レジの台に置かれたその商品は、もうお買い上げテープが貼られていたので、「あっこれはもうお済みの分ですね。」と言い、バツが悪かった私は苦笑いしてそーっとしておいた。と、いうのも母親の反応もゼロだったからだ。
こんなとき、殆どのお客さんは、「あ~すみません。もう支払い済みのものです。」とか、「紛らわしくってごめんなさい。」などと言ってくださる。お子さんがされていることなので、微笑ましく思っていた。
その横に山積みのカゴ…そして追加で置かれた商品2つがカゴなしで並んで置かれていた。
ここまでが、このお客さんの商品だなとまぁ分かっていたので、それなりに工夫してカゴ詰めを行なった。
これも一日に何十回、何百回は行なっている作業。
この山積みカゴには、お弁当2つと焼きそばお好み焼きの大きめトレイがさらに2つあった。
お弁当の蓋の隙間から中身が漏れてもいけないので、ひとつずつ袋に入れていった。袋と袋で少し滑りやすくなったらしく、それを真っ直ぐに戻そうとした瞬間に、「あ~あまり急いでガサガサ入れないでください。」と、指摘が入った。
(とにかくゆっくり入れよう)そう思って続けていると、今度は「あ~お肉の上に置かないで下さい。」いいえ、実際は直に置いたのではなく、間に常温のものをはさんで置いた。
速攻、別のカゴをとり、お弁当とこのお好み焼きの大きめトレイだけ入れて「お分けいたしますね.。」という風に切り替えた。一応反応はうっすらあり、納得したように見えた。
そう、この確認する作業というものを怠ってしまっていたのだ。
一緒にカゴにいれてこられていても、別のカゴに入れて欲しくないわけじゃない。
普段当たり前にやってきていること。
それが、今回はもう事既に遅し…である。
何年ぶりなんだろう、お客さんに指摘を受けるなんて。
これだけ、コミュニケーションは大事だと思ってやってきたではないか!!
何故、気を抜いてしまったの!!
何年も頑張って積み上げてきたものが一瞬にして崩れ落ちていった感覚があった。
その若い奥様は、こちらがとても気になるほどの方言というか訛りがあった。少なくとも私が住む関西圏ではないのがありありとわかった。
もしかしたら、こちらに引っ越してきて間もないのかも知れない。元住んでいたところのスーパーとも勝手が違ったのでしょう。
また、来店されるかも知れないので記憶にとどめなければ…と思った。
コミュニケーションは大事だと思うけれど、何も言わないタイプのお客さんには、しゃべらなくていいからサッサとやってくれ!を目で訴える人もいる。
イライラをこちらに向け、あげ足を取ってやろうという人も過去にはいた。
一番長く入るシフトの前半で、もう一日全力で働き終えたような感じだった。
それでも、これらを言わせてしまったのは紛れもなく私なのだ。
辞めたいという気持ちがまた大きくなった。
【意馬心猿】いばしんえん … ⇨心猿意馬(しんえんいば)… 煩悩や妄念のために心が乱れ落ち着かないことのたとえ。心は馬のように馳せ、猿のように騒ぎ立て落ち着かない意。「意」は心の意
漢検四字熟語辞典【第一版】より