また、やってきたかーっ。あのおじさん…。
「うん、だからこの40円、取って‼」「いや、だから40円取ってくれる?」スーパーのレジでの一幕、てのひらに乗せられた小銭を取ってほしいというのである。決しておじさんの片手が塞がっているわけではない。どう考えても速攻出せる状態なのである。
お客であるこのおじさんは、以前にもこの手口を使ってきた。
今までなら、(これは明らかにわざと手を伸ばさせて触れさせようとしてるやつやな~‼)と思いつつもしょうがないな~くらいで終わっていた。
ところが、その日の私はなぜか、イラっとしてしまい「はい、あと40円ですね。」を計3回くらい言った。
私の心の中では、頼むー!今日は自力でその小銭を取って出してくれー‼と、叫んでいた。その叫びも通じず、今回もこちらが折れておじさんのてのひらから、思いっきり見えている10円玉4枚を取らされる羽目になった。くぅーっっ!
私は以前、ある年配女性から、「あんた~!もうこの小銭出そうと思ってたのにサッサと会計してしまってーっ。」と、お叱りをいただいたことがあったので反省し、それ以来常々財布にある小銭をきっちり出してもらうよう促しているが、このおじさんの場合に限り、「あちゃーっしまった!!」と、こうなる。
財布に小銭を戻してくれだとか、財布の小銭を取ってくれなどしょっちゅうあることだし、おばさんなら何の抵抗もなくできているこの行為。
その日は頑としてこれを許せないと思ってしまう自分にも多少戸惑うのだった。
【一薫一蕕】いっくんいちゆう … 善は消えやすく悪は除きがたいことのたとえ。一つのよい香りの草と一つの悪いにおいの草。この二つをともに置けばよい香りが消え悪いにおいが勝つことからいう。「薫」は香りのよい草、「蕕」は悪いにおいの草。
漢検四字熟語辞典【第一版】より